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木藤俊一石油連盟会長 年頭所感  (2024年1月5日)

  石油連盟

 

  1. 1. 令和6年能登半島地震

  2.  本年1月1日、最大震度7の令和6年能登半島地震が発生した。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げる。
     石油業界は、地震発生直後から、政府と24時間の連絡体制を構築し、また販売業界の方々とも連携し、タンクローリーやドラム缶などによる珠洲市・輪島市・能登町など被災地への燃料供給に懸命に取り組んでいる。
     引き続き、被災者の生活支援や社会機能の復旧・復興に必要な燃料供給に向けて、全力で取り組んでいく。


  3. 2. 2023年の振り返り

     昨年の石油情勢を振り返ると、原油価格は、ロシアのウクライナ侵略が継続する中、OPECプラスによる協調減産や、サウジアラビア・ロシアによる自主減産などにより、ドバイ原油でバレル当たり70ドルから90ドル程度で推移した。足元では70ドル台後半であるが、イスラエルとハマスの紛争、そして最近ではフーシ派による紅海での船舶への攻撃など、中東情勢は不安定さを増している。原油の中東依存度が高まっているわが国としては、地政学的リスクの高まりが懸念されるところであり、引き続き注視が必要と考えている。

     国内に目を向けると、5月に新型コロナ感染症の扱いが「5類」に移行し、経済社会活動が正常化に向かう中、石油製品需要も徐々にコロナ前の水準に戻りつつある。一方、原油価格は引き続き高水準で推移している。政府は燃料油価格激変緩和対策事業の4月末までの継続を決定しており、石油各社は、引き続き補助金を全額卸売価格に反映させ、政府と連携していく。
     また、GXに向けては、5月にGX推進法が成立し、7月にはGX推進戦略が策定される中、今後10年間で20兆円規模の先行投資を行い、150兆円を超える官民投資を実現することが示された。石油各社の動きとしても、SAF(持続可能な航空燃料)や合成燃料(e-fuel)に関する具体的な取り組みが進展するなど、GXに向けた動きが本格化している。

  1. 3. 2024年の重要課題

    (1)エネルギー政策における石油の位置づけと石油の安定供給確保

     石油は一次エネルギー供給の約4割を占め、動力源、熱源、原材料として、幅広い用途で活用され、わが国の経済と国民生活を多方面から支える重要なエネルギーである。また、可搬性・貯蔵性に優れた石油は、災害時において、被災地に運び届けることが可能なエネルギーである。エネルギー供給の「最後の砦」としての責務を果たすべく、まさに今、能登半島地震において、被災地への石油製品の供給に全力で対応している。
     今後、脱炭素に向けた取り組みを進める中にあっても、石油の重要性が変わることはない。石油の国内需要は減少することが見込まれるが、石油業界としては、官民一体でセキュリティ対策などの強化に取り組むとともに、さらには石油産業の経営基盤強化を図り、トランジション期においても、エネルギーの安定供給確保に努めていく。
     今年は、次期エネルギー基本計画に関する議論が始まるが、GXに向けた検討を進める中でも、S+3Eの同時達成を大前提としたうえで、石油の重要性を踏まえた議論が行われることを期待している。

    (2)気候変動対策

     石油連盟は、「石油産業のカーボンニュートラルに向けたビジョン」を策定し、供給する製品に伴う「Scope3」を含めたCO2排出の実質ゼロにチャレンジすることを表明している。ご承知の通り、「Scope3」の実質ゼロは、極めて野心的でハードルの高い目標であるが、SAF、CO2フリー水素、アンモニア、合成燃料、CCSといった、既存インフラが活用できる革新的な脱炭素技術開発と社会実装にチャレンジし、社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献していく。
     特にSAFについては、次世代燃料の先駆けであり、将来の合成燃料を含めた次世代燃料の実用化・社会実装をけん引するものである。令和6年度税制改正大綱において、「戦略分野国内生産促進税制」の創設が盛り込まれ、SAFが対象となった。石油業界としては、これら税制も積極的に活用し、国内での安定的かつ国際競争力の高いSAFの生産体制の構築に取り組んでいく。

    (3)税制

     石油には既に年間6兆円近い巨額な税が課せられている。石油連盟は、以前から石油に対するこれ以上の税負担に反対しており、引き続き全国石油商業組合連合会の皆様と力を合わせて断固反対していく。
     また、自動車用の電気や天然ガスには、ガソリン税のような高額な燃料課税がなく、公平性を欠いたものとなっている。税制改正大綱では、利用に応じた負担の適正化等に向けて、具体的な制度の枠組みを検討するとの方向性が示されているが、石油連盟として、公平な課税の実現に向け、引き続き働きかけをしていく。


  2. 4. 「サステイナブルなエネルギーを社会に」

     エネルギーを取り巻く環境は、過去に類を見ないスピードで変化している。我々石油業界は、GXに向けた革新的技術開発や社会実装に向けた取り組みを加速化するとともに、引き続き、平時・有事を問わず、石油製品の安定供給確保に努め、日本経済の成長と国民生活の安定に貢献していく。

     そして、石油連盟のキャッチフレーズである「サステイナブルなエネルギーを社会に」の実現を目指す中、石油業界がエネルギー供給者として、将来の長きにわたって消費者の皆様に選ばれるよう、新年にあたり、その決意を新たにしているところである。

以上

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