プレスリリース
木藤俊一石油連盟会長 年頭所感 (2026年1月6日)
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1. 2025年の振り返り
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ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ攻撃などの影響があるなか、原油価格はドバイ原油で1バレルあたり60ドルから80ドルの範囲で推移した。足元では、60ドル前後とやや下げ基調で推移しているが、年明けの米国によるベネズエラへの攻撃など、世界情勢はいまだ不確実性を抱えており、地政学的リスクの観点から、引き続き注視が必要と考えている。
国内に目を向けると、2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定された。エネルギー安全保障の重要性が再認識されるとともに、石油については、引き続き「国民生活・経済活動に不可欠なエネルギーである」と位置づけられた。
石油業界をとりまく事業環境は、国内石油需要が減少傾向で推移するなど、厳しいものであったが、石油製品の安定供給に努めるとともに、SAFなどのカーボンニュートラル燃料の社会実装に向けた取り組みを進めてきた。そして、足元では自動車業界と連携し、バイオ燃料の導入拡大に係る検討を進めているところである。 -
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2. 2026年の重要課題
(1)エネルギー政策における石油の位置づけと石油の安定供給確保 石油は一次エネルギーの約4割を占め、動力源、熱源、原材料として、幅広い用途で活用されるとともに、可搬性・貯蔵性に優れた特性を踏まえ、災害時におけるエネルギー供給の「最後の砦」としての役割を担っている。
石油業界としては、今後も官民一体でセキュリティ強化に取り組むなど、トランジション期においても、エネルギーの安定供給確保に努めていく所存である。
なお本年より、GX-ETS、いわゆる排出量取引制度が本格的に開始される。制度設計次第ではあるが、供給コストの増加やカーボンリーケージなど、安定供給面でのリスクが生じる可能性も懸念される。脱炭素に向けた制度ではあるが、石油の安定供給確保に配慮した制度設計をお願いする。(2)気候変動対策 石油連盟は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、今後も、SAF、CO2フリー水素、アンモニア、合成燃料、CCSといった、既存インフラが活用できる革新的な脱炭素技術の開発と、その社会実装にチャレンジしていく。
特にSAFについては、昨年度より国産SAFの供給が始まり、本年中には、各社においてSAF製造装置に係る最終投資決定を行う必要がある。 SAFは既存燃料との価格差が大きく、石油業界としてもコスト低減の努力を継続していくが、政府におかれても、値差支援や外航を含めた航空会社の利用義務化など、国産SAFの確実な需要を創出する施策をお願いしたい。
なお、最近の動向として、欧米各国を中心に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた野心的な目標を堅持しながらも、エネルギーコストなどを踏まえた、現実的な取り組みを行うことの重要性が再認識されている。気候変動対策の必要性が変わることはないものの、市場の動向や技術革新の状況を見極めながら、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要になる。当面は、石油など化石燃料を上手に使いながら、低炭素ソリューションを施し、将来の脱炭素社会の実現に向けて技術革新を起こしていく、こうしたプロセスが大切であると考える。 -
3. 「サステイナブルなエネルギーを社会に」エネルギーを取り巻く環境は、過去に類を見ないスピードで変化している。われわれ石油業界は、カーボンニュートラルを目指し技術革新や社会実装に向けた取り組みを加速するとともに、引き続き、平時・有事を問わず、石油製品の安定供給確保に努め、日本経済の成長と国民生活の安定に貢献していく所存である。
そして、石油連盟のキャッチフレーズである「サステイナブルなエネルギーを社会に」の実現を目指す中、石油業界がエネルギー供給者として、将来の長きにわたって消費者の皆様に選ばれるよう、新年にあたり、その決意を新たにしているところである。
以上