FAQFAQ

原油関連

指標原油とは

指標原油とは世界で取引される原油価格の基準とされる原油のことで、米国市場ではWTI原油、欧州市場ではブレント原油、アジア市場ではドバイ原油がその役割を果たしています。WTIは米国テキサス州で、またブレントは北海油田で生産される原油で、それぞれNYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)とICE(ロンドンIntercontinental Exchange)に上場されています。一方アジア市場では、アラブ首長国連邦(UAE)で生産されるドバイ原油が指標となっています。ドバイ原油は日本やUAEの先物市場に上場されていますが、価格指標としては現物の取引を反映したスポット価格が利用されています。産油国から購入する原油の価格は、契約に基づきこれら指標原油の動きに準拠して決められるケースがほとんどとなっています。

輸入原油価格の決まり方

石油会社が海外から輸入する原油価格は、以前はOPECが決定する原油価格(公式販売価格)にタンカーの運賃と保険料が加えられて決まっていました。しかし、固定的な公式販売価格は需給等の変動を反映しにくく硬直的であったことから、サウジアラビアは1988年に価格決定方式を変更し、長期契約でもスポット価格や先物価格に準じて原油価格を決める市場連動方式を導入し、現在ではこの方式が主流となっています。
日本を含むアジア市場でのサウジ原油の価格は、石油価格情報誌であるプラッツ誌が算出するドバイ原油とオマーン原油の1か月間のスポット価格を平均し、これにサウジアラビアが毎月設定する調整金を加減して設定されています。調整金は、サウジの販売政策によって変動することもあるため、毎月初旬に契約者に通知される調整金の水準にも最近注目が集まっています。石油会社が輸入する原油価格は、同じ産油国から購入する場合でも輸入する地域によって異なり、その地域に適用されるフォーミュラに基づいています。産油国によっては、調整金を設定していない場合や市場連動ではなく月ごとの固定価格を通告する場合など異なる決定方式があります。

原油価格と為替の影響

国内の石油製品価格は、石油会社が産油国から購入して輸入する原油価格(ドルベース)と輸入の際の為替レートが大きく影響します。石油会社は、主にこの二つの要素から小売事業者に対する卸価格を毎週決めています。国際的な原油価格が上昇したり為替が円安になると石油製品のコストは上昇し、また原油価格が値下がりしたり為替が円高になるとコストは下落します。
現在の原油価格である1バレル当たり50ドル、為替レート105円/ドルを前提とすると、1ドルの原油価格の値上がりは、卸価格で1リットル0.6円くらいのコスト上昇になり、一方1円の為替レートの円安は、0.3円程度のコスト上昇になります。

製品関連

連産品とは

石油製品は、原油からガソリン、灯油、軽油、重油など複数の製品が同時に連なって生産される特性があり、これを「連産品」といいます。原油の種類によって、生産される製品(留分)の割合は異なりますが、ガソリンや、灯油だけを生産することは出来ません。そのため、石油会社は国内の石油製品の需要構成に合わせて生産するために、次のような対応を行っています。

  1. 最適な原油選択
    原油にはガソリン等の軽質留分が多く含まれる軽質原油と、重油等の重質留分が多く含まれる重質原油があり、わが国の需要構成に最適な原油を組み合わせて輸入しています。
  2. 二次装置による対応
    わが国の石油製品の需要構成は、ガソリン、灯油、軽油等の割合が高く、重油の需要の割合が低くなるという需要の「軽質化」が進んでいます。そのため需要の少ない重油をなるべく作らないようにするため、重油を分解してガソリン、灯油、軽油に作り変える二次装置によって、需要の軽質化に対応しています。生産だけでは、国内需要への対応が難しい場合には、製品の輸出入や在庫調整などで対応しています。

バーター取引とは

バーター取引とは、各石油会社間で品質規格を満たす同種同量の製品を異なる地域で交換する(融通し合う)取引のことで、一般にはガソリン(一部ハイオク銘柄を除く)・灯油・軽油で行なわれています。例えば、元売A社のX地域にある製油所から元売B社にガソリンを融通する一方で、元売B社のY地域にある製油所から元売A社に同量のガソリンを融通するといった取引です。これによって元売A社は、Y地域に油槽所を有していなくてもY地域のSS(給油所)に効率的かつ安定的に配送することが可能になります。
石油会社ではこうしたバーター取引に加え、各社間で油槽所を共同利用する等の物流提携により、物流コストの削減やエネルギー供給の安定性の向上につなげています。

製油所の精製工程

製油所における精製工程では、主なものとして、蒸留、脱硫、分解、改質といった工程があります。蒸留は一次処理とも言い、原油を加熱炉で350℃以上に熱し常圧蒸留塔の中に吹き込み、沸点の違いを利用して、原油からLPガス、ナフサ、灯油、軽油、重油などの留分に粗分けして取り出す工程です。

その後の脱硫、分解、改質等の工程は二次処理とも言い、脱硫は、各留分から硫黄分を取り除く工程です。これによりガソリンと軽油はサルファーフリー(硫黄分10ppm以下)の製品を供給しています。

分解は、蒸留工程で出てきた炭素数の多い重油を、炭素数の少ない製品に作り替える工程です。これにより、重油留分がガソリンや灯軽油などの基材に作り替えられます。
改質は、ナフサ留分をガソリン燃料として使えるようにオクタン価を高める工程になります。

「品確法」とは

1996年4月から特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)が廃止され、石油製品の輸入が自由化されました。石油製品の輸入が増えることで、国内に粗悪な品質の石油製品が流通しないよう、従来の「揮発油販売業法」を改正し、「揮発油等の品質の確保等に関する法律」(品確法)が新たに制定されました。

品確法では、ガソリン、灯油、軽油、および重油の国内生産品および輸入品について品質基準(強制規格)を設けている他、揮発油販売者等の登録義務や管理事項についても規定されています。

品確法における揮発油、軽油、灯油、重油の強制規格
揮発油(ガソリン) 軽油
項目 満たすべき基準 項目 満たすべき基準
検出されない 硫黄分 0.001質量%以下
硫黄分 0.001質量%以下 セタン指数 45以上
MTBE 7体積%以下 蒸留性状(90%留出温度) 360度以下
酸素分※1 1.3質量%以下 トリグリセリド 0.01質量%以下
ベンゼン 1体積%以下 脂肪酸メチルエステル
(FAME)※2
0.1質量%以下
灯油 4体積%以下
メタノール 検出されない
エタノール※1 3体積%以下
実在ガム 5mg/100ml以下
オレンジ色

※1 E10対応ガソリン車の燃料として用いるガソリン販売又は消費しようとする場合における規格値は、酸素分3.7質量%以下、エタノール10体積%以下

※2 上記は現在日本で一般的なFAMEを混合しない軽油の場合。FAMEの混合は品確法強制規格として0.1質量%超5.0質量%以下として認められており、その場合、メタノール(0.01質量%以下)、酸価(0.13㎎KOH/ g以下)、ぎ酸、酢酸及びプロピオン酸(合計0.003質量%以下)、酸化安定度(規定の試験法で酸化安定度65分以上または酸価の増加0.12㎎KOH/g以下)の規定がある。

灯油 重油
項目 満たすべき基準 項目 満たすべき基準
硫黄分 0.008質量%以下 硫黄分※3 0.5質量%以下
引火点 40度以上 無機酸 検出されない
セーボルト色 +25以上

※3 船舶が硫黄酸化物低減装置を設置している場合等は、3.5質量%以下とする。

出所:経済産業省

ガソリンの品質

自動車ガソリンはガソリン車に給油して、その車がスムーズに走り出し、安定した走行ができること、また、車を長時間使い続けてもその性能に影響しないことが求められます。さらに、車からの排出ガス対策も重要です。そのため、次のような品質要求事項を満たして作られています。

  • ①燃焼が安定していて、エンジンが異常振動(ノッキング)を起こさないこと。(オクタン価)
    (オクタン価96以上がハイオク、89以上がレギュラーと分類されています。)
  • ②適度な蒸発性があり、自動車のアクセルを踏み込んだ時にスムーズにガソリンがエンジン内で空気と混ざり、円滑に燃焼し、加速性が良いこと。また、ガソリンは、気温が高い場合、給油時に車の燃料タンクから蒸気となって大気に放出されやすいので、季節によって調整が必要になります。
  • ③流通・貯蔵時には安定していて品質が変化せず、燃焼時には自動車排出ガスが清浄であり、エンジン内に汚れを作らないこと。
  • ④排気ガス中の有害物質低減のため、ベンゼンを体積分率1%以下に、硫黄分を10ppm以下とする対策がなされていること。
自動車ガソリンの要求品質
試験項目 1号(ハイオク) 1号(E) 2号(レギュラー) 2号(E)
オクタン価
(リサーチ法)
96.0以上 89.0以上
密度
(15℃)g/cm³
0.783以下
蒸留性状
(減質量加算)
 10%留出
 温度℃
70以下
 50%留出
 温度℃
75以上110以下 70以上105以下 a) 75以上110以下 70以上105以下a)
 90%留出
 温度℃
180以下
 終点℃ 220以下
 残油量
 体積分率%
2.0以下
銅板腐食
(50℃,3h)
1以下
硫黄分
質量分率%
0.0010以下
蒸気圧
(37.8℃)kPa
44以上78以下 b) 44以上78以下 b)c) 44以上78以下 b) 44以上78以下 b)c)
実在ガム
mg/100ml
5以下 d)
酸化安定度 min 240以下
ベンゼン
体積分率%
1以下
MTBE
体積分率%
7以下
エタノール
体積分率%
3以下 10以下 3以下 10以下
酸素分
質量分率%
1.3以下 1.3超3.7以下 1.3以下 1.3超3.7以下
オレンジ系色

a)エタノールが3%(体積分率)超えで、かつ、冬季用のものの50%留出温度の下限値は65℃とする。エタノールが3%(体積分率)以下のものの50%留出温度は75℃以上110℃以下とする。

b)寒候用のものの蒸気圧の上限値は93kPaとし、夏季用のものの上限値は65kPaとする。

c)エタノールが3%(体積分率)超えで、かつ、冬季用のものの蒸気圧の下限値は55kPa、さらにエタノール3%(体積分率)超えで、かつ、外気温が-10℃以下となる地域に適用するものの下限値は60kPaとする。

d)ただし、未洗実在ガムは、20mg/100ml以下とする。

出所:JIS規格

灯油の品質

灯油は、石油ストーブ、石油ファンヒーターなど、室内で用いられる燃焼器具で用いられることが多いため、特に燃焼排気ガスがクリーンであることが求められており、灯油の硫黄分は低いレベルに規定されています。また、一般家庭で給油することが多く、安全性も重要になってくるため、次のような品質要求事項を満たして作られています。

  • ①完全燃焼するために十分な揮発性を有していること。
  • ②煙が出にくく燃焼性の良いこと。
  • ③取扱いに安全な程度まで引火点が高いこと。
  • ④腐食性物質が無害な程度まで少なく刺激臭のないこと。
灯油の要求品質
試験項目 種類
1号 2号
蒸留性状
 95%留出温度℃
270以下 300以下
引火点℃ 40以上
銅板腐食(50℃,3h) 1以下 -
煙点 mm 23以上 -
硫黄分 質量分率% 0.0080以下b)
- 0.50以下
色(セーボルト色) +25以上 -

a)寒候用の煙点は、21mm以上とする。

b)燃料電池用の硫黄分は、0.0010質量分率%以下とする。

出所:JIS規格

軽油の品質

軽油は主にディーゼル車の燃料に用いられています。このため、自動車ガソリンと同様に以下の様々な品質要求項目を満たして作られています。

  • ①適度な着火性があり、エンジン内で安定した燃焼が得られて異常騒音や白煙をださないこと。
  • ②適度な蒸発性で、不完全燃焼物を出して排気ガスを悪化させないこと。
  • ③自動車排出ガス浄化装置の性能が維持できるとともに、排出ガス中の粒子状物質の一つである硫黄酸化物の排出も低減できること。
  • ④低温時に十分な流動性があり、燃料系統内で固まりにくいこと。
  • ⑤燃料噴射ポンプの摩耗防止に必要な適度な粘度と潤滑性を維持すること。
軽油の要求品質
試験項目 単位 特1号 1号 2号 3号 特3号
引火点 50以上 45以上
蒸留性状90%留出温度 360以下 350以下 330以下a) 330以下
流動点 5以下 -2.5以下 -7.5以下 -20以下 -30以下
目詰まり点 - -1以下 -5以下 -12以下 -19以下
10%残油の残留炭素分 質量% 0.1以下
セタン指数b) - 50以上 45以上
動粘度(30℃) mm2/s 2.7以上 2.5以上 2.0以上 1.7以上
硫黄分 質量% 0.0010以下
密度(15℃) g/cm3 0.86以下

a)動粘度(30℃)が4.7mm2/s以下の場合には、350℃以下とする。

b)セタン指数は、セタン価を用いることもできる。

出所:JIS規格

ディーゼル車の燃料用の場合、地域や季節により低温時の流動性能の異なる軽油が販売されています。そのため、寒い時期に暖かい地域から寒冷地域に移動した場合、現地で販売されている軽油を給油しないと、エンジンが停止するなどのトラブルが発生する可能性があります。

軽油使用ガイドライン

北海道
(道南除く)
道南 中部山岳 東北 関東 北陸
1月 特3号 3号 3号 3号 2号 2号
2月 特3号 3号 3号 3号 2号 2号
3月 特3号 3号 3号 3号 2号 2号
4月 2号 2号 2号 2号 1号 1号
5月 1号 1号 1号 1号 1号 1号
6月 1号 1号 特1号 特1号 特1号 特1号
7月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
8月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
9月 1号 1号 特1号 特1号 特1号 特1号
10月 1号 1号 1号 1号 1号 1号
11月 2号 2号 2号 1号 1号 1号
12月 3号 3号 3号 2号 2号 1号
山陰 東海 近畿 山陽 四国 九州 沖縄
1月 2号 2号 2号 2号 1号 2号 特1号
2月 2号 2号 2号 2号 2号 2号 特1号
3月 2号 2号 2号 1号 1号 1号 特1号
4月 1号 1号 1号 1号 1号 1号 特1号
5月 1号 1号 1号 1号 特1号 特1号 特1号
6月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
7月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
8月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
9月 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号 特1号
10月 1号 1号 1号 1号 特1号 特1号 特1号
11月 1号 1号 1号 1号 1号 1号 特1号
12月 1号 1号 2号 2号 1号 1号 特1号

・表の号数のもの、又はそれより流動性のよいものを使用するのが望ましい。

・それぞれの地域区分中、地形等によって局所的に特別に低気温となる地域については、気温に応じた流動性をもつ軽油が使用されるようにすべきである。

出所:JIS K 2204解説

重油の品質

重油は原油から、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料油、軽油などの留分が常圧蒸留塔から留出した後に残る油が中心となってできており、発熱量が高く産業用燃料や船舶用燃料など様々な用途で使用されています。

重油は粘度の違いによりA重油、B重油、C重油に分類されています。A重油は重油の中では最も動粘度が低く、茶褐色の製品です。用途は、工場の小型ボイラ類をはじめ、ビル暖房、農耕用ハウス加温器、陶器窯焼き用の他に、漁船など船舶用燃料などとして用いられています。C重油は、A重油に比べて粘度が高く、黒褐色の製品です。その用途は、火力発電や工場の大型ボイラ、大型船舶のディーゼルエンジン用の燃料などとして用いられています。B重油はA重油とC重油の中間の動粘度の製品ですが、現在はほとんど生産されていません。

重油の要求品質
試験項目 1種(A重油) 2種(B重油)
1号 2号
反応 中性
引火点℃ 60以上
動粘度(50℃)mm2/s[cSt]b) 20以上 50以上
流動点℃ 5以下a) 10以下a)
残留炭素分質量 % 4以下 8以下
水分容量 % 0.3以下 0.4以下
石灰質量 % 0.05以下
硫黄分質量 % 0.5以下 2.0以下 3.0以下
主な用途 中小型ボイラ、ビル暖房用、漁船等小型船舶ディーゼルエンジン用、ビニールハウス加温用 中小工場ボイラ用、窯業炉用
試験項目 3種(C重油)
1号 2号 3号
反応 中性
引火点℃ 70以上
動粘度(50℃)mm2/s[cSt]b) 250以上 400以上 400を超え1000以下
流動点℃ - - -
残留炭素分質量 % - - -
水分容量 % 0.5以下 0.6以下 2.0以下
石灰質量 % 0.1以下 -
硫黄分質量 % 3.5以下 - -
主な用途 電力等大型ボイラ、タンカー・コンテナ船等大型船舶ディーゼルエンジン用

a)1種及び2種の寒候用のものの流動点は0℃以下とし、1種の温候用の流動点は10℃以下とする。

b)1mm2/s=1cSt

出所:JIS規格

参考:IMOによる船舶用燃料の硫黄分規制
IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)は、船舶による大気汚染防止のため、世界の一般海域における船舶用燃料(バンカー重油)の硫黄分含有率の上限を、2012年に4.5%から3.5%に、そして2020年に0.5%に引き下げています。

ジェット燃料油の品質

ジェット燃料油は航空機のジェットエンジンに使用される燃料です。航空機のトラブルは人命にかかわる重大事故に直結する可能性が大きいことから、ジェット燃料油には厳しい規格と品質管理が求められています。主な性状上の特徴は以下の通りです。

  • ①燃焼性が良いこと
  • ②発熱量が大きいこと
  • ③熱安定性が良いこと
  • ④凍結しにくいこと
  • ⑤電気伝導度が高い(静電気を帯びにくい)こと
  • ⑥水分や異物の混入がないこと

ジェット燃料油には灯油型(ケロシン系)と、広範囲沸点型(ワイドカット系)の二つのタイプがあります。現在、民間用燃料は、灯油型のJetA-1が国際的な規格として運用されています。また、軍用機にはJetA-1より軽質で、析出点が低く、より高度の飛行に適したJP-4も規定されています。

世界で使用されている主なジェット燃料油の規格

民間機 軍用機
(1)灯油型 Jet-A1(低析出点)
JetA
JP-8
JP-5(高引火点)
(2)広範囲沸点型 JetB JP-4

出所:石油連盟

ナフサとは

ナフサは、ガソリンに似た透明な液体で、石油製品のひとつです。LPガス留分の次に沸点(35℃~180℃)が低く軽い留分です。

ナフサからは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンといった「石油化学基礎製品」が作られます。これらの基礎製品から、プラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤、塗料などの原料となる「石油化学誘導品」(中間製品)が生産されます。さらに、中間製品は関連産業の工場に運ばれ、様々な製品に加工されます。例えば、われわれの生活で身近に利用しているパソコンや携帯電話、大型の薄型テレビ、その他家電製品、自動車のバンパー、シートや内装、ワイシャツやスポーツ用品などの衣料品、塗料、橋脚の補強材など様々な分野で使われています。

石油製品の使用推奨期間

石油製品は、一定の期間が経過すると、酸化等により品質変化が生じる製品です。石油業界では、灯油と軽油は6か月間、A重油については、3か月間を使用推奨期間とし、この期間を目安に使用していただくことをお願いしています。詳しくは石油連盟が2016年7月に発出している「災害などに備えて燃料を備蓄する皆様へ」(https://www.paj.gr.jp/paj_info/20160222.pdf)をご覧ください。

その他

OPEC、OPECプラスとは

OPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries、石油輸出国機構)は、1960年にイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5か国によって、イラクの首都バグダッドで結成されました。メジャーと呼ばれた国際石油資本に、産油国として共同して対抗することを目的としていました。その後13か国まで加盟数を増やしたOPECは、1973年の第四次中東戦争に際しては、アラブ諸国が中心となってイスラエル支持国への石油禁輸措置を打ち出し石油市場での発言権を確保するとともに、石油価格の大幅引き上げを実現し、1980年代半ばまで国際カルテルとして大きな影響力を行使しました。

1980年代になって、OPECに属さない産油国からの石油が増産されるようになり、また消費国で石油先物市場が開設され石油価格決定の主導権が市場に移っていくと、OPECは各国に生産量を割り当てる生産調整を開始し、需給調整を通じて石油価格の維持を図るようになりました。さらに2010年頃から、米国を中心としたシェールオイルの生産が増加して需給が一層緩和すると、OPECに属さないロシアやメキシコなど10か国とも協調して需給調整を行うOPECプラスという枠組みを2016年に設定して、石油価格への産油国の影響力の維持を図っています。

OPEC原油のシェアは、1970年代に石油戦略を発動した際には、世界の50%を超えていましたが、その後1980年代には20%台まで低下し、その後やや回復していますが現在でも30%台で低迷しています。OPECプラスに参加している非OPEC産油国10か国の生産量は合計で世界の20%前後あるため、産油国共通の利益を追求するための新たな枠組みへの試みといえます。

OPECとOPECプラスの国(2021年1月現在)

OPEC
イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、ガボン、アンゴラ、赤道ギニア、コンゴ(加盟13か国)

OPECプラス
(OPEC加盟国に加えて)アゼルバイジャン、バーレーン、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダン(参加13か国+10か国)

IEAとは

IEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)は、1974年11月、第一次石油危機時の石油供給不安を背景に、米国の提唱によってOECD(Organization of Economic Co-operation and Development、経済開発協力機構)の下部組織として設立されました。現在の加盟国は30か国で、37か国あるOECD加盟国の中では、チリ、コロンビア、アイスランド、イスラエル、ラトビア、リトアニア、スロベニアの7か国が参加していません。

IEAの設立当初は、OPECに対する対抗組織としての性格が強く、その活動は緊急時に向けた石油備蓄の構築や加盟国間での石油の相互融通システムの確立などが中心でした。しかしその後は、石油消費の中心がOECD加盟国から途上国へ移っていったことから、エネルギー安全保障を最大の使命としつつ、エネルギーに関する対話、統計・分析を通じたエネルギー問題全般に対する政策の提案等へ活動分野を拡大しています。また2015年には、エネルギー全般をより広範囲に取り扱い、途上国との関係を強化し、クリーンなエネルギーとエネルギー効率の改善技術に一層の取り組みを行うとの新たな3本の柱を承認しました。そしてこの新政策に基づき、ブラジル、中国、インド、インドネシア、モロッコ、タイ、シンガポール、南アフリカの計8か国との関係強化を図ることとなりました。

IEA加盟国

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、韓国、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国(加盟30か国、チリが加盟申請中)

SSの地下タンク老朽化対策とは

2010年6月に公布(2013年2月施行)された改正消防省令により、地下タンクの設置年数や設計板厚等について、一定の基準に該当する地下タンクを「腐食のおそれが特に高いもの」と「腐食のおそれが高いもの」に区分し、当該区分に応じて、タンク内面の腐食を防止するためのコーティング等の対策を実施することが義務付けられました。「腐食のおそれが特に高いもの(設置年数40年以上で設計板厚等が基準に該当するもの)」については、危険物の漏洩を未然に防止する措置としてタンク内面のFRPライニングもしくは電気防食の実施が、「腐食のおそれが高いもの(設置年数20年以上で設計板厚等が基準に該当するもの)」については、上記の危険物の漏洩を未然に防止する措置か、あるいは危険物の漏れを早期に検知するための措置(高精度液面計の設置等)の実施が義務付けられました。

中核SS、住民拠点SSとは

中核SSとは、東日本大震災以降に「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づき指定された、自家発電設備等を備え、災害時に警察や消防等の緊急車両への優先給油を行うSSです(全国に約1600か所程度(店名・住所等は非公表))。中核SSは、災害時において可能な限り緊急車両への優先給油を行い、営業状況等について政府に報告する役割を担っています。
また、住民拠点SSとは、自家発電設備を備え、災害による停電時においても可能な限り被災地の住民向けに燃料供給を行うSSであり、政府は2020年度末までに全国15,000か所を目途として整備を進めています。住民拠点SSは、2016年4月に発生した熊本地震において、一般の避難者・被災者の方々が給油できる拠点を整備する必要性が認識されたことを契機として整備が進められており、店名・住所等は資源エネルギー庁のHPで公表されています。

満タン&灯油プラス1缶運動とは

全国石油商業組合連合会(SSを中心とする石油販売業の組合の全国組織)と47都道府県の石油組合が主催している災害に備えた運動で、熊本地震の翌年(2017年)から行っています。「車の燃料メーターが半分程度になったらこまめに満タンにしておく」また、暖房に灯油を利用しているご家庭では「灯油は1缶多めに備えておく」ことを消費者の皆様に呼びかけ、災害等万が一の事態が発生した場合でも、混乱しないよう日頃の心構えの大切さを訴えているものです。特に車の燃料については、災害時でも半分以上あれば、移動する手段としてだけではなく、車内で暖を取ったり、携帯の充電等も可能となることから、石油業界を挙げて推進しています。

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